【COMEMO】日本郵政Gの1200億円ベンチャー投資

下記記事にある通り、日本郵政グループが1200億円規模のベンチャー投資ファンドを組成する。第一号ファンドは、1200億円規模で、ゆうちょ銀がGPとして600億円、かんぽ生命が300億円、加えて国内外の投資家から300億円集める予定とのことだ。

政府資金と民間資金がともに出資するようなベンチャー企業向けのファンドは、いわゆる「ハイブリッド・ファンド」と呼ばれ、これまで日本に限らず世界中で少なくとも過去20年余り、試みられてきた。しかし、成功例は残念ながら極めて少なく、唯一のハイブリッド・ファンドの成功例は、イスラエルが90年代に組成した”Yozuma Fund”だけだ。いわゆる別名「官民ファンド」はこれまでなかなか成功してない。

今回のファンドは、もちろん純粋な政府資金が入っているわけではないので、テクニカルには「ハイブリッド・ファンド」あるいは「官民ファンド」ではないという言い方も可能だ。しかし、日本郵政グループはこの手のファンドのGPの経験はこれまでなく、また人材としてプロのベンチャー・キャピタリストが多くいるわけでもない。しかし、資金量は莫大だ。したがって、GPとしてのcapabilities(能力)の面からみれば、「ハイブリッド・ファンド」に近いものと受け止められる可能性は高い。

僕は、この記事にある、300億円予定されている国内外の投資家に注目したい。イスラエルの”Yozuma Fund”の成功の一因は、民間資金が集められなかった場合は、政府のファンド出資は得られず、ファンドは組成できないという仕組みにあったと言われている。そして、”Yozuma Fund”は主に米国の名声のある民間投資家をLPとして連れて来れたことが成功につながった。

このファンドの今後を占う上では、300億円出そうとする国内外の投資家のプロフィールに要注目だ。特に、海外の著名な投資家を呼べているのかどうかが、このファンドの成否をとりあえず予測してくれるのでないか。

 

ベンチャー・ファイナンス

ゼミ生によるコラム