サッカー・チームの能力(Capabilities, ケイパビリティー)を分析するのは企業組織のそれを測るのと同様に、なかなか興味深い。有名な経営学者であるクリステンセンは、組織の能力(Capabilities)を次の三つに分類して、組織全体の能力はその三つの能力の結合の結果と考える。
- Resources(リソースとしてのCapabilities): これはまさに個々のプレーヤーの能力のことである。サッカーでよく言われる「個の力」である。通常、能力と言われた場合、我々はこの能力を思い浮かべる。
- Processes(効率的な手順設定能力としてのCapabilities): 企業であれば、企業内の意思決定プロセス、誰に権限を与えるか、どの会議が最終決定権を持つのか、人事異動はどう行うのか、などの社内システムのことである。サッカーに置き換えれば、どういう戦術(縦に早く攻めるのか、もっとパスを回すのか、4-2-3-1のフォーメーション、等)で臨むのか、選手交代はどうするのか、など。ベンチを見てても、たくさんの関係者が絶えず動いているわけで、彼ら一人一人がこのProcessの構成要素となっている。
- Priorities(高所大所からみた、優先順位付けを行うCapabilities): 企業で言えば、トップをはじめとした経営能力。サッカーで言えば、監督の能力でもあり、協会の能力でもある。協会の能力には、監督人事、ワールドカップ前のマッチメークをどことやるかなど、が含まれる。
この記事では、8年前の南アでは、土壇場のところで岡田監督をはじめとして2)の能力を発揮し、予選を勝ち上がったと言っている。一方、今回のロシアW杯では、3)の能力を発揮しないと、ヤバいだろうという推測を述べておられる。
さて、今回はどの能力を発揮することになり、W杯の結果はどうなるんだろうか。
(了)