日曜日の一面トップです。ポイントはいくつかあるんですが、3つに絞りますと、
1) 銀行ではなくて事業会社が企業に融資する力がでてくるんじゃないの、という話。理由はIT企業などの事業会社に、融資対象となりえるかもしれない企業の取引データが蓄積していることから、そのデータに基づけば信用力を評価することができそうじゃないかと。これは、以前からもある「企業間信用」ではあるのですが、データーの蓄積及びアクセスが今は格段に高まってきているので、注目されてるわけです。
2) その結果、金融仲介機関としての銀行の強みが相対的に低下しつつあること。企業の信用力を判断する情報はこれまで銀行が独占的に把握してたのが、ビッグデータという技術的革新のなかで、金融機関ではないプレーヤーもその情報の入手が容易になってきているからで、いわゆる金融のdisintermediation(仲介機能がいらなくなること)が起こりつつあります。本記事では、そのプレーヤーとしてIT系の事業会社を念頭に置いてますが、極端な話、個人の富裕層だって、情報へのアクセスが可能になれば、貸せますよね。
3) サブタイトルにもなっている「創業直後の資金調達」の道になり得るのか? 期待はしたいところですが、記事の内容にもある通り、つなぎ融資、運転資金融資がここでいってる「データレンディング」なので、基本、その対象企業の取引のデータのある程度の蓄積が必要です。なので、創業後間もない”ド”ベンチャーにはここで言ってるようなレンディングは難しいと思います。
しかしながら、その企業自体ではなくとも、過去のスタートアップ企業の情報を蓄積させてビックデータ的な分析が深まれば、今日設立されたスタートアップにもその分析がある程度は使えるようになるはずです。であれば、貸せるようになるかもです。その場合の主役は、うまくビジエンスモデルをつくれれば銀行がなりえるのではと個人的には思っています。特に、いまだ、銀行預金に膨大な額が眠っている日本経済にあっては、この資金をもしスタートアップに還流することができれば社会は変われるかも、と妄想します。(了)